収蔵作家

森本草介

収蔵作家

森本草介

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1937年生まれ。東京芸大油画科卒業(安宅賞受賞)専攻科修了。2015年10月逝去。

自分の住む同じ千葉県内にこのような立派な美術館ができることをこの上なく嬉しく思います。
設計デザインのユニークさ、写実絵画だけという特殊性、また美術館初といわれる照明設備など話題性が豊富に思います。
自分の作品が約30点まとめて収蔵され、陳列されることは考えていなかったことで、絵描きとしてこれ以上の喜びはありません。

当時、抽象画一辺倒だった美術界の波を受けて、若い頃は、一日中画面の中で格闘して数年間一点も仕上がりませんでした。
苦しい状況から抜け出すために自分自身をよく見つめ直した結果、自分の資質や能力を生かせる方向が「写実絵画」だったのです。そして「描ききる」ことの喜びを知りました。

「横になるポーズ」は保木さんに初めてコレクションしていただいた作品です。
いわばコレクションから美術館へのルーツといえる記念的な作品で、私にとって重要な意味を持つ作品です。

制作上は、対象を「美しい」と感じた時、その要素をできるだけ忠実に画面に取り入れたいと思う気持ちが必然的に写実的な表現に向かわせます。
正統的なものを踏まえた上で、ありふれたものを普通に描いて普通じゃない、より質の高いものを求めていきたいと思っています。
クラシック音楽を流しながら絵を描くことが多く、画面に美しい旋律が流れることを祈りながら制作しています。

人物画については、血が流れて生きているように、風景は大自然を感じさせるようにと思って描きます。
モデルは似ていたり似ていなかったりしますが、それはあまり問題ではありません。絵はイメージの世界ですから描きながら自分好みの顔に近づいていきます。
モデルは神秘のベールの向こう側にいて、彼女についての具体的なことは何ひとつわからないというのが理想です。
風景ではフランスの田舎の風景が好きで、ほとんどの地方を廻りました。豊かな自然の中に点在する赤い屋根の石造りの家々は本当に魅力的で、私の心をとりこにします。
今後も美しいものだけを追い求めていきたいと思っています。
それは生きている事の喜び生への讃歌であり、いつの時代でも変らない人間の根元的な感情でもあると思います。

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