ホキ美術館について

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保木将夫 ホキ美術館館長|ホキ美術館設立の背景とそのコレクション

日本で初めての写実絵画専門美術館

美術館設立の構想は、私が2005年にホギメディカルの代表取締役社長を辞めた時からありました。以前からいろいろと考えていたのですが、日本に写実の美術館というのはないということです。世界でもほとんどない。だから、ひとつあってもいいのではないかと考えました。
また日本が景気のいいときは抽象画が流行りましたが、不況になると写実になるのです。会社の経営者などは現実的で、不況になってくると写実絵画を買っているのです。ウェリントンという世界第2位のアメリカの投資会社の30何階のビルに現代アート、抽象画、印象派、写実派、細密画など2,000点くらいあるのですが、そのなかで何が一番人気があるか聞いてみたところ、写実、ことに細密画の人気があるとのことでした。7、8年前、ちょうど景気が悪かったときですから、やはりそうなのかと思いました。
美術館の建築デザインについては、わが社のビルを作った日建設計さんに、「そこを通ったら入りたいと思わせる美術館を建ててくれ」と、私がお願いしたのはそれだけなんです。

コレクションについて

コレクションのきっかけは森本さんの「横になるポーズ」です。95年頃、いろいろなところで絵を見ましたがあまり気に入ったものがなく、そんなときに森本先生の作品に出合ったのです。これはすごいなと思い、早速、森本先生に手紙を書きました。すると手紙が着いた翌日に電話がかかってきました。そして「今、展覧会をやっていますから見てください」ということで、 娘と二人で行ったのですが、ほかの絵が目に入りませんでした。それほど森本さんの絵が光っていたのです。「これを買おう」と言ったら「実は今さっき売れてしまったからだめだ」と言われました。それで森本先生から「今もう一つ描いているのはどうですか」と言われ、描きあがった作品が「横になるポーズ」の絵だったのです。ここから私のコレクションが始まりました。今、森本さんの作品は30枚くらい持っていますが、森本さんの作品は細密画なので年に1枚か2枚しか描けないのですね。
その後コレクションは野田先生の作品をはじめどんどん広がっていきました。新人の画家はどのように選んだかというと、日本で行われている展覧会を全部見て歩いたのです。もう何千枚と見ました。若手の人気作家は本当にこの10年間でうまくなりました。だからこれなら美術館をやってもいいなと思うようになりました。

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「私の代表作」の展示

私はこう考えたのです。普通の美術館と同じことはやりたくない。何か特色を出さないとならない。私もいい絵がほしい。「私の代表作」を描いてほしいと依頼すれば、彼らも一生懸命自分の代表作ですから力をこめて描いてくれるのではないかと、それがお客さんに対するサービスだと考えた。代表作といっても、ただ並べているのではよくないので、一人ひとりのコーナーを作りますと。そして、作家にこの絵に対して主張したいことを書いてくださるよう依頼しました。来館者が絵の前へ立つと自動的にセンサーが動いて、作家のコメントが音声で流れるようにしようと考えました。
なかには200号という人もいました。いい絵が描ければ、それはその人の代表作にもなるし、うまく描ければ彼らもお客さんを連れてきてくれる。で、隣との競争です。新人がベテランよりも上手い絵を描けば名前があがるではないですか。新人は喜びました。今は人気作家が全部入っています。

コレクションハウス

千葉の自宅の隣に作品を収蔵し、そこでコレクションを年に2日見せ始めたのが、2001年か2002年です。来場者が、初めは1日に2、300人だったのですが、すぐに増えて600人が2、3年続き、最後は1000人になってしまいました。無料ですから宣伝はしたことがないです。表に公開日の日程を書いただけです。リピーターの方もいて、それでだんだん増えていき、これはひょっとしたらいけるのかと思ったのです。

ホキ美術館開館

私はこの美術館を「写実の殿堂」にしたいと考えています。そのようになればいいなと。もっともよそがないのだから、そうなっていくでしょう。私はこれまで世界各地の美術館を見て歩きましたが、なんといっても日本人は細密画が得意だと思いました。手先が器用ですから。またワイエスも亡くなり、世界に写実の画家がいないのです。そうすると今、日本だけなのです。ですから森本さんはそれを代表するような作家になっています。日本はこれから脚光を浴びてくるのではないかと思っています。以前は、写実の画家が少なかったのですが増え、レベルが少しずつ上がってきましたものね。白日会や日展だって近年非常に写実が多くなりました。そうすればだんだん楽しみじゃないですか。
絵を見て癒しになっていただけるのが私は一番うれしい。そのような絵を美術館にできるだけかけたいと思っています。多くの人にこの美術館へ来て癒されたと感じてほしいのです。また絵を見る習慣がなかったのだけれども、来て見てとても良かったのでまたリピーターになったというような人が増えていただけたらうれしいですね。そして、世界に日本の写実絵画をここから発信していけるようになればと思っています。

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